第二種電気工事士技能試験を受験しました

タイトルの通り,令和三年度上期の第二種電気工事士の技能試験を受験しました.技能試験で必要となる複線図の書き方や部品などの取り扱いは一から勉強しましたので,受験にあたって取り組んだことや気になった箇所などをまとめておきます.

受験の経緯

電工試験を受けようと思った理由は大きく3つあります.

  • 将来的に自宅内の工事をやりたい
    私は趣味で電子工作をしているのですが,電工の資格があると取り組める幅が広がるなと思うことが多々ありました.これまで電子・情報系の学部・学科だったため強電系はあまり扱って来なかったのですが,将来的には資格をとってみたいと思っていました.
  • 業務でも取得しておいたほうが有利に働く場面がありそうだと思った
    私自身は研究開発職であり,電気工事自体を行うことは基本的にはありません.しかし,電気工事を含む業務の改善やそれに必要な技術開発をしたり,電気工事を伴う工事の発注などを行う場面があるため,知識と資格を持っておくこと自体は必要だと思っていました.
  • 電験三種に合格していたため,第二種電工試験の筆記が免除となった
    大学生の時に技術士(電気電子部門)一次試験に受験して合格していました.この試験と出題範囲が重なる電験三種(第三種電気主任技術者試験)の資格取得を優先しており,昨年無事試験合格し免状取得しました.第三種電気主任技術者免状の取得者は第二種電工試験の筆記試験が免除され,受験するのは技能試験だけで済むため,ここで受けない手はないと考え受験しました.

購入した工具・部材・参考資料

工具

学生時代に電工試験を受験していた友人に工具セットを借りることができたので,ほとんど新規で工具を購入する必要はありませんでした.唯一,借用した工具セットにストリッパが含まれておらず,ストリッパは40分しかない技能試験での利用は必須だと思っていたので買い増ししました.
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通常は,以下のような工具セットを購入するのが良いのかと思います.実際,試験会場でもこのセットを使っている方がかなり多くいました.
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部材・参考資料

練習用部材と参考資料として,以下の部材セットのうち,3回練習用セットを購入しました.
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本セットには技能試験対策DVD,およびハンドブックが付属しており,他に参考書の購入や講習会の受講などをせずとも済みそうだという期待がありました.
これは期待どおりで,本セットに付属のDVDとハンドブックに加え,過去問・HOZANの電工試験対策HPを見るだけで十分な知識をつけ,練習をすることができました.
また,部品がなく十分に練習ができない状態で本番に臨むのは避けたかったので,3回セットを購入しました.しかし,実際には練習にかけられる時間がとれず,各候補問題2回ずつ練習した状態で本番の受験となったので,1回分は不要でした.
もっというと,この部材セットは結構余裕をみて材料が入っているため,2回ずつ各候補問題をやったものの材料消費量は1.5回分程度でした.1回分セットを買って,1回プラスαの練習をし,練習が足りない場合に部材セットを追加する形でも良かったかもしれません.

練習方法

基本的には,DVDを見て手順を確認し,候補問題をNo. 1から13まで順に作成する,という作業を2周行いました.1周目はそもそも扱う部品自体を初めて目にする場合があり施工方法を学んだり,ケーブル被覆や芯線被覆を剥く長さを覚えたりしていたため時間がかかっていました.
2周目になるとだいぶ習熟してきて,作品の完成度向上やなるべく短時間で完成するような工夫,失敗したときのリカバリの練習を主にしていました.1周だけだと不安があったので,本番前に2周できたのは良かったと思います.
また,一周目の途中から,以下のように完成した回路の写真とミスした/しそうだった点・作成時間などを記録するようにしたのですが,これが割と回路作成のペース配分の検討や注意点の見直しに効果的でした.

候補問題を解いていて気になった点

上記練習用部材セット付属のDVD・ハンドブックで練習していたのですが,不明瞭な点があって調べたので,いくつか記載します.素人目にはこのあたりがわかりにくいように感じましたが,他の参考書と併用していればとくに気にならなかったのかもしれません.

  1. 配線材料が不足していた場合の対処
    例えば,上記の参考書では,候補問題No.3ではVVF 1.6mm-2Cのケーブルが1550mm配布される想定でしたが,ケーブル外装を取り除く長さを考慮すると1570mmほど必要で,材料が不足することになります.実際の試験でこのような問題に遭遇した場合どうすべきかわかりませんでした.
    →結果から言うと,配線長さの欠陥条件は規定値の半分以下ということなので,どこか多少不足している箇所があっても配線長さが半分以下にならなければ欠陥ではないとのことでした.
    ちなみに,本番ではちょうど候補問題No.3が出題されましたが,VVF 1.6mm-2Cケーブルは1650mm配布されたので,不足するということはありませんでした.

  2. 圧着をミスして圧着し直した場合,接続に必要な寸法を下回るが欠陥になるのか
    →これは,1. に記載したものと同様,所定長さの半分以上を確保できていれば欠陥になりません.したがって,圧着をミスしてその箇所を切断し,少し短くなった配線材料で再度圧着したため,結果として寸法が短くなっても,欠陥にはなりません.

  3. 欠陥がいくつかあると不合格なのか,欠陥が1つでもあると不合格なのか
    →欠陥が1つでもあると不合格となります.

  4. 3極スイッチ,4極スイッチの端子が二つある側に極性はあるのか
    →極性はありません.回路が正しければどちらに接続されても良いとされています.3極スイッチの0番端子には非接地(黒線)が来ることが決まっているので,残りの1番と3番は白色・赤色どちらが接続されても良いことになります. 私は「3番端子に白色を接続するようにする」というマイルールを定めて,複線図作成と回路の作成をしていました.

  5. 候補問題No. 12でPF管のボックスコネクタが大きい穴・小さい穴どちらにも取付可能だが,取付箇所をどう判断するか.
    →アウトレットボックスの穴の径は以下3つとなっています.

    • G16(C19)=21.5mm
    • G22(C25)=27.1mm
    • G28(C31)=34mm

    PF管ボックスコネクタはこのうちG16, G22(22mm, 27mm)兼用となっている様なので,どちらでも接続可能です.試験でアウトレットボックスに空いている穴か,施工条件から判断します.

受験日当日

試験地は神奈川だったのですが,大学の教室で試験が行われました.机が普通の講義用の机で作業スペースが狭めだったのでちょっと驚きましたが,自宅の練習スペースもそこまで広いわけではなかったので,特に問題ありませんでした.
試験前には,配布部材に不足がないか確認する時間が設けられたので,そこで候補問題のどれかを特定し,頭の中で複線図や回路作成作業手順をイメージすることができました.出題された候補問題No. 3は記憶に残っていたのと,苦手な問題ではなかったため,試験開始後は苦もなく作成でき,28分ほどで完成,入念な見直しをして35分で概ね完成しました.

おわりに

候補問題の練習にかなり時間を使ったので合格していてほしいですが,欠陥を見落としている可能性もなくはないので,合格発表の8/20を待ちたいと思います.不合格だとショックなのですが,まあその時は下期試験を受けなおすことにします.